illust By HIROTO5000
夜空に浮かぶ星を眺めたり・・宇宙に思いをはせたり
大きなものを見たり考えたりすると、小さなことはどうでもよくなったりするものです。
美しき大きなものたちの会話 をどうぞ。
^^
the text By 福岡伸一「動的平衡」
arrange By 五月んぐ
Music By HELIOS CAESURA
♯HOPE VALLEY HILL
「私は彼女に心を奪われていた。この偉大なる母が、生まれて初めての孤独を経験している。
それを思うと、胸が痛んだ。無数の老いた孤独な魂たちが、目の前に浮かび上がってきた。
救いのない悲しみが私を押しつぶそうとしていた。しかし、その瞬間、さらに驚くべきことが起こった。
空気に鼓動が戻ってきた。私はそれを感じ、除々にその意味を理解した。シロナガスクジラが海面に浮かび上がり、
じっと岸のほうを向いていた。潮をふきだす穴までがはっきりと見えた。
太母は、この鯨に会いにきていたのだ。海で最も大きな生き物と、陸で最も大きな生き物が、ほんの100ヤード
の距離で向かいあっている。そして間違いなく、意思を通じ合わせている。超低週波音の声で語り合っている。
大きな脳と長い寿命を持ち、わずかな子孫に大きな資源をつぎこむ苦労を理解するものたち。高度な社会の重要性と、その喜びを知るものたち。この美しい稀少な女性たちは、ケープの海岸の垣根越しに、互いの苦労を分かち合っていた。女同士で、太母同士で、種の終わりを目前に控えた生き残り同士で。」


